- Event Report -
第18回
他人事ではなく、「自分ごと」としての古美術を
2021/06/16 (水) 18:30~20:00
公益財団法人永青文庫 副館長 橋本 麻里 氏
ガラスケースの中に展示された作品は、かしこまって「鑑賞する」対象で、自分とは縁遠いものと思いがちだ。だがそれらの中には、本来何らかの用途のために、「道具」として作られたものが少なくない。茶道具や刀剣は言うまでもなく、屏風や襖絵なら調度、漆器は食器や文房具、染織品は服飾──という具合。
こうした古美術を手に入れ、本来の用途で、あるいはそれぞれの個性や自分のライフスタイルに合わせ、アレンジして使うことも、「作品を楽しむ」ことに他ならない。すると美術館の展示作品も、「自分ならほしいか/ほしくないか」「いくらなら買うか」という視点で観られるようになる。それはかつて、同様の眼と執着を持って作品を蒐集したコレクターと対峙することに他ならない。作品を観る目をいっそう広げ、かつ深めてくれる、他人事ではない、「自分ごと」としての鑑賞につながる話ができればと考えている。
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登 壇 者
公益財団法人永青文庫 副館長 橋本 麻里 氏
日本美術を主な領域とするライター、エディター。公益財団法人永青文庫副館長。金沢工業大学客員教授。新聞、雑誌等への寄稿のほか、NHKの美術番組を中心に、日本美術の楽しく、わかりやすい解説に定評がある。著書に『美術でたどる日本の歴史』全3巻(汐文社)、『京都で日本美術をみる[京都国立博物館]』(集英社クリエイティブ)、共著に『SHUNGART』『原寸美術館 HOKUSAI100!』(共に小学館)、編著に『日本美術全集』第20巻(小学館)ほか。